こんにちはジーンズリペア&リメイクのhands-onです。
正月休み期間もどんどんブログUPしたいと思います。
これからビンテージ特集のブログとなります。
(完全に私の個人的な趣味です、興味の無い方はスミマセン)
前回のブログネタが1922モデルでした、、、
それでは今回紹介するのは
リーバイス501XX 1937モデル オリジナル
スーパービンテージです。
私の中では1947年(第二次大戦)以前の物はスーパービンテージだと思います。
ちなみに現在から100年以上前の物は
骨董の世界ではビンテージではなくてアンティークと呼ぶらしいです。
前回ブログの1922モデルもあと10年もするとアンティークですね。
価値がこれから更に上がりそうな予感がします。
1937モデルの一番の特徴は
シンチバック(尾錠)が付いている事だと思います。
お店によってはバックルバックと呼ばれたりもします。
シンチの金具部分です。
鉄なのでサビています(サビもいい味出しています)
刻印は S O L I D E です。
リベットの位置がアバウトですね。
こうゆう作りが本物のビンテージの証かな?
復刻やレプリカでは見られない面白さですね。
※製造のクオリティーが高いからビンテージではありませんので、、、
アメリカの大量生産の合理的な物作りを垣間見る事が出来るのが
ビンテージジーンズだと思っています。
復刻やレプリカジーンズしか見たことの無い方は
本物のビンテージはもっと凄い作りをしていると思われているようですが
製造のクオリティーだけを見ると 復刻やレプリカが断然良いです。
100本あったら全て同じ作りをしています。
(特に日本製はチェックが厳しいので、細かい部分も同じです)
ビンテージジーンズの良さって、大量生産のはずなのに
作業員の癖がいろんな所に出ていて、微妙に違う点だと思います。
年代が古いほど、製品のクオリティーが1点づつ異なります。
なので同じモデルでも1点物のジーンズを見ているようなのです。
だって当時は単なる作業着です。
そこまで細かい部分を指摘する消費者なんていないはずです。
とにかく、作業着として頑丈であればそれで良かったはずなので、、、
※以上は全て個人的意見です。
バックポケットのアーキュエイトステッチを見て下さい。
この頃はステッチ型なんて無かったはずです。
フリーハンドで縫っています。
2本のステッチ幅やカーブの感じは
作業員の感覚でしょう。
こういう1点物感覚が、たまらない部分ですね。
私も加工工場で量産を経験しています。
メーカーさまから量産の加工感は
1点物感覚でカッコ良く作って欲しい! とかよく言われましたが
これが上手くいきませんでした。
本当にそれをやった事もありました。
そしたら本当に作業員の感覚でカッコ良い物になったのですが
それを1ロットで集めてみると、本当に色んな物が出来ました。
それを納品したら、メーカーさまから
カッコ悪いものがあるので修正して欲しいとなりました。
そうなると工場側はかなり面倒ですよね。
だってカッコ良いの 基準が曖昧だからです。
スミマセン、完全に話がそれてしまいました、、、(苦笑)
ウエストのサスペンダーボタンが無くなっています。
パンツを腰で締めるという穿き方が一般的になって来ました。
股リベットが付いています。
これも1937モデルの特徴です。
この後の大戦モデルでこのリベットは省略されます。
(物資削減の為)
しかし戦後の1947モデルでは復活しませんでした。
リペア屋目線では、股の補強は必要だと感じています。
戦後のXXではこの部分のステッチ切れが多く、今まで沢山リペアをしてきました。
他よりも太い糸を使っているのですが、綿糸なのでどうしても劣化してしまうようですね。
XXの後のビッグE(1967年頃)になるとここに補強のカンドメ(カンヌキ)が入ります。
それで股の補強が強くなって、弱い部分が改善されています。
1937モデルからバックポケットの補強に
隠しリベットが採用されました。
それまでの剥き出しのリベットが馬の鞍(くら)を傷つけるとの事で
ポケットの内側に付ける事に成功したようです。
当時ライバルメーカーのLeeは
カウボーイパンツ101のバックポケット補強には
バッテンのカンドメ(カンヌキ)を採用していて対照的ですね。
(最初期の101は剥き出しのリベットを使っていたようですが、、、)
隠しリベットですが1937モデルは
他に使っているリベットを使いまわしていました。
この角度から見ると、平べったいのがわかりますか?
これは戦後の1955モデル(私物です)の隠しリベットです。
違いがわかりますか?
この頃になると隠しリベット専用の物が開発されています。
隠しリベットの採用が好評だったので、専用リベットを作ったのだと思います。
せっかくなのでフロントの裏側も見ていきましょう。
(依頼者さま、ブログ掲載OK 本当にありがとうございます)
アップが無くて申し訳ないのですが
ボタン裏は当然、ドーム型でプックリしています。
ジーンズ縫製をする人が見たいのはここです。
持ち出しの先端が切りっ放しなのは有名なのですが、
小股(前股)の裏側も切りっ放しなんですね。
(いつから折り伏せになったのかな?)
画像では見えにくいのですが
内股の中心部分にカンドメ(カンヌキ)補強が入っています。
上にある表からの画像をご覧下さい。
ここは1922モデルから進化した部分だと思います。
ベルトループが極太です。
使っている生地も身生地と同じようです。
サスペンダーボタンの廃止後はベルトループの強度アップが必要だったのかな?
ループの中央が微妙に膨らんでいるように見えます。
一部のレプリカジーンズにある、極端な膨らみにはなっていないようです。
(この頃のビンテージジーンズは固体差があるので、断言出来ませんが、、、)
見えにくいのですが、帯び止めはVステッチを採用しているようです。
お休み中なのでウンチクが非常に長くなってしまいました、、、(苦笑)
それではやっとリペア部分の紹介です。
左右前ポケット入口の擦りきれをリペアします。
この部分を綺麗にリペアするには
リベットを外して、解体リペアが必要になります。
しかし、これはスーパービンテージです。
なるべくオリジナルを維持したままで直して欲しいとの事です。
そうなるとここは手縫いでチクチク直すしか方法がありません。
(そのままミシンで縫うと、ポケットのR形状が変わってしまいます。)
そして、手縫いリペアはミシンリペアよりも強度が弱いです。
それでも良いので、
これ以上ダメージが進行しなければOKという事でお受けしました。
ベルトループが弱っています。
何か先ほど紹介した物と違いますね。
(これは幅が狭いです)
これは他店さまで付け替えられたベルトループだという事です。
ここはオリジナルではないので、外して解体リペアOKという事です。
スソです。
オリジナルチェーンステッチが切れた部分に
他店さまでシングルステッチが入れ直しされています。
オリジナルチェーンステッチを残したままで
シングルステッチ部分のみを解いて、
そこだけをチェーンステッチで縫い直して欲しいとの事です。
(できるだけオリジナルの糸を残したい)
リペア屋目線だと、チェーンステッチの縫い継ぎはお勧めしません。
チェーンステッチは1箇所から連鎖して解れるステッチです。
1周を縫い合わせて、ステッチの強度が出る物だと思います。
でもマニアさん目線のオリジナルを少しでも残したい気持ちもわかる、、、
お客さまに「入れ直しステッチが解れるリスクがある」のを承知して頂いたので
チェーンステッチを縫い継ぎする事にしました。
(万が一、解れてもクレーム対象になりませんので)
という事です。
今回もブログが長くなりすぎたので
リペア後のビフォーは次回に書きます。
では!
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